⑦針葉樹と広葉樹、精油が多いのはどっち?

日本の樹木にどれくらい精油が含まれているのかをお伝えします。まずは日本を代表する針葉樹であるヒノキから。

ヒノキ科 針葉樹

樹木の種類精油含有量
ネズコ4.2ml
ヒノキ4.0ml
ニオイヒバ4.0ml
アスナロ2.4ml
チャボヒバ1.7ml
ハイビャクシン1.7ml
サワラ1.4ml
ヒノキアスナロ1.4ml
ネズミサシ1.3ml
カイヅカイブキ0.9ml
オキナワハイネズ0.7ml
エンピツジャクシン0.5ml
※「乾燥した葉100g」当たりの精油含有量

ヒノキやヒバに精油が多く含まれることは有名ですね。わずか100gの乾燥した葉っぱで、4mlの精油が摂れるわけです。かなりの量ですね!

しかも、葉っぱは間伐時に山に放置されることがほとんどです。放置されたスギやヒノキの葉っぱを有効活用することで、森を守りながら、精油や植物エキスがたくさん作れるわけです。最高の自然の循環ですね。ぜひ全国の森林組合に採用していただきたいです。

漫画『鬼滅の刃』の鬼になった少女・禰豆子(ねずこ)の名前は、植物のネズコが由来なのでしょうか? そんなネズコは、ヒノキ科の中でもっとも精油が豊富な樹木なのでした。

スギ科、イチイ科、イチョウ科、イヌマキ科 針葉樹

樹木の種類精油含有量
スギ3.1ml
コウヤマキ0.7ml
コウヨウザン0.4ml
カヤ0.7ml
キャラボク0.2ml
イチイ0.1ml
イチョウ0.4ml
イヌマキ0.1ml
※「乾燥した葉100g」当たりの精油含有量

このグループでは、スギが圧倒的に精油が多いですね。スギは過去に植林され過ぎて、間伐もなされず、放置林となり災害の原因となります。また、スギ花粉に化学物質がくっついてアレルギー症状を起こす「花粉症」も、大きな社会問題になっています。(スギ花粉が花粉症の犯人ではありません。これについては別の記事でまとめます)

マツ科 針葉樹

樹木の種類精油含有量
トドマツ8.0ml
エゾマツ2.1ml
シラベ2.1ml
ハイマツ2.0ml
アカエゾマツ1.4ml
トウヒ1.1ml
モミ0.9ml
ツガ0.8ml
ストローブマツ0.6ml
アオトウヒ0.4ml
ヒマラヤスギ0.3ml
カラマツ0.3ml
ダイオウショウ0.3ml
イヌカラマツ0.3ml
アカマツ0.2ml
※「乾燥した葉100g」当たりの精油含有量

マツといえば、松脂(まつやに)のイメージが強いでしょう。いかにも「油が多そう」な気がしますが、実際にその通りで、トドマツは日本の針葉樹の中でも群を抜いて精油が多い植物です。

クスノキ科、シキミ科、ツツジ科、ユキノシタ、ミカン科、ブナ科 広葉樹

樹木の種類精油含有量
クスノキ2.4ml
タブノキ2,2ml
ヤブニッケイ2.0ml
シロダモ0.4ml
シロモジ0.4ml
シキミ4.4ml
アセビ0.1ml
ノリウツギ0.1ml
ミヤマシキミ2.4ml
サンショウ0.6ml
クヌギ〜0
シラカシ〜0
スダジイ〜0
※「乾燥した葉100g」当たりの精油含有量

このグループは広葉樹です。データが少ないのは、広葉樹はそもそも精油の含有量が少ないためです。広葉樹よりも針葉樹のほうが、精油を多く含むと覚えておきましょう。

(谷田貝光克著『森林の不思議』より引用)

まとめ

いかがでしたか? 今回は、精油をどのように扱うべきか、どのような樹木に精油が多く含まれているかを紹介しました。自然の恵みである精油を正しく使用し、日常を豊かにしていきましょう。

ちなみにアイ・ジャパンでは、精油ではなく植物エキス(蒸留水)を作っています。精油は前述のように販売が難しいですが、植物エキスはそのまま化粧水の原料になりますし、消臭剤、除菌スプレー、虫除けスプレーとして利用できます。加湿器や噴霧器に入れて森林浴を楽しんだりと、とても便利です。

「間伐材を活用したい!」
「樹木の葉っぱを抽出してみたい!」
「ハーブやフルーツ、花のエキスを作ってみたい!」

など、興味がありましたら、こちらのページを参考にしてください。それではまた次回。

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サト
こんにちは、「森の仲間」のサトです。自営業のかたわら、植物エキスのメーカー「アイ・ジャパン (岐阜県可児市)」にて約10年修行を積み、2025年から独立することになりました。

無添加で体にやさしい商品を作りつつ、いつまでも健康でいられる生き方やアイデアなどを提案します。

ブログ、イラスト、写真、音楽、ポッドキャスト、YouTube……あらゆる方法で発信を続けていきます。

現在、長野に移住するか、岐阜と長野の二拠点生活にするかを検討中。

(プロフィール更新:2024/09/30)